「桃李不言下自成蹊」    花はただ咲くから美しい

「桃李言らず、下おのずから蹊を成す」という言葉がある。

成蹊学園の名の典拠となったので有名な句であるが、これは前漢の歴史家である司馬遷が著した『史記』の中の「李将軍伝賛」に出てくる言葉であるという。

桃や李は「美しく咲いたから、果実をおいしく実らせたからいらっしゃい」と自己宣伝などしない。
ただ黙々とみずからの勤めとして精いっぱい花を咲かせ、あるいは実をみのらせているだけであるが、
その美しさ、おいしさに惹かれてやってくるので、下に、おのずから小径ができた、というのである。

深山に人しれず咲いている山桜や春蘭などに出会ったとき、深い感動をおぼえる。
人に見せるため、ほめてもらわんがため、自己を顕示せんがため、などというものが何もない。

無心でただ咲いていることへの感動である。



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