傘松道詠
さん  しょう  どう  えい
「傘松道詠」は道元禅師さまが詠まれたとされる和歌を集めたものです。そのうちの三首を選ばせて頂きました。それぞれの歌を通して教えの一端に触れてみて頂ければ幸いかと存じます。


                          
お釈迦さまはけっして遠い存在ではありません。
一生懸命に努力しているとき、私たちが眼にする青々とした山並みや谷川のせせらぎが、お釈迦さまの声であり、姿であるのです。
素直に自分に見つめられたときお釈迦さまは、私たちのおそばにいらっしゃるのです。




春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえて すずしかりけり

春夏秋冬、四季それぞれの自然のいとなみを眺めていると、時には花咲くことに心を弾ませ、時には、雪の厳しさを痛感します。
けれども同じ秋の名月を見ても、同じほととぎすの声を聞いても、いつも同じように感じるわけではありません。
心静かに坐禅するとき、四季それぞれがより鮮やかに私たちの目の前に立ち現れるのです。




閑らに 過す月日は 多けれど 道をもとむる 時ぞすくなき

私たちは、日々をどのように過ごしているでしょうか。
時間に追われて生活を送っていることもあるのではないでしょうか。
そこで過去を振り返り、現在の自分を思い、未来の自分の人生について考える時間というものは、意外と少ないように思います。