晋山結制について  
平成十七年十一月十九日
新命住職
渡辺宗徳

平成十七年十月二十二日(土)・二十三(日)の両日にて晋山結制の式を修行することができました。
当日はまさしく雲ひとつない秋の晴天にめぐまれました。
これも皆様のご協力の賜物であり、誠に感謝の念にたえません。
ここに儀式の内容についてご紹介いたします。
 

住職がお寺に入るために行う儀式です。〈晋〉は進むという意味で、〈山〉はお寺のことです。
曹洞宗では、管長さまより住職任命の辞令を受けます。その披露目の儀式である晋山式(しんさんしき)をつとめます。
お寺に関係する僧侶ならびに壇信徒の代表の方々が、ともに行列を作って入山し、住職は諸堂をおまいりして、就任のあいさつを告げ、祝賀を受けます。
儀式は、その後「問訊(もんじん)」(問答開始をお願いするお拝)が行われ、問答開始を告げる「白槌(びゃくつい)」によって問答がはじまります。この白槌をする方を「白槌師(びゃくついし)」といいます。白槌師に問答開始の宣言、そして修了にあたり、住職の説法が大和尚として立派であることを証明していただきます。
問答とは、特に禅の修業に関する質疑応答で、結制修行へのお祝いをこめて行われます。
問答のあと、住職は古式にしたがって教えを示し、自省し、お礼の心をあらわします。そして古人がふみおこなった跡を偲び、問答の結びとして儀式は終わります。





お釈迦さまが定められた制度や制約にしたがい、修行僧が結集(大勢が一か所に集まること)することです。
結制とは、結集の〈結〉と制度の〈制〉とを熟語にしてできたものです。
また、結制とは、ほかに「安居(あんご)」ともいいます。
インドでは、四月から七月にかけて雨期となり、毎日雨が降りつづきます。お釈迦さまがこの時期、精舎(しょうじゃ-お寺のこと-)にこもり、修行したのが結制のはじまりです。
やがて中国に伝わり、夏と冬の二回、約九十日にわたって行われるようになりました。
日本では現在、禅宗が伝え行っています。
晋山または結制をつとめるにあたっては、多くの方がたの援助、お手伝いなしには、大法要の無事円成はありえません。そのために、種々の役割があります。この役割を発表して、お手伝いをお願いします。
さらに、翌日の〈首座法座(しゅそほうざ)〉を行うにあたっての講義がなされます。このとき、中心となる課題(本則)が発表されます。これが終わると、全員でお茶をいただきます。これが「行茶(ぎょうちゃ)」です。
中国ではじまったもので、日本に伝えられ、禅宗に残された古式のもので、茶道などの作法に多大な影響を与えたといわれます。





寺院では、〈首座法戦式(しゅそほっせんしき)>といいます。
首座が住職に代わり、禅の修業やさとりについての問答を交わす儀式です。
これはお釈迦さまが霊鷲山(りょうじゅせん)で、弟子の摩詞迦葉(まかかしょう)に半座を分けて(席をゆずり)説法させた故事にならったものです。
説法には、講義・説教や質問形式の問答があります。法戦式は、問答を文わすことからの法の戦い、すなわち法戦式といわれるのです。






檀信徒の方がた、皆さまの各家祖先代々諸霊位に対して、大勢の寺院住職が荘厳に回向を申し上げ、総供養します。
これは永い年月にわたって菩提寺の護持と皆さまの家を守ってきてくださったご先祖さまに、報恩と感謝のまことをささげているのです。
心からご焼香して、おまいりしましょう。





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